ウズベキスタンの名工達

刺繍(スザニ)作家

ズフロ・オブロベルディエヴァ

 ウズベキスタンを代表する刺繍家のひとり。ウズベキスタン中部地域、ブハラの伝統的デザインをもとに、多様で豊かなモチーフの刺繍作品(スザニ含む)を製作している。

 作品の要となる刺繍糸には、地元の農村で生産される繭から紡ぎ、手ずから草木で染めた生糸を使用。光沢と発色のうつくしい同氏の作品には、欠かせない要素となっている。緻密な刺繍ステッチでつくられるズフロ氏の作品は、世界的にも評価が高く、愛好家も多い。

 30年以上もの長きにわたり刺繍製作事業を続け、その間に数くの名誉ある賞を受賞。世界的コンテストや展示会にも多数参加している。2020年には、それまでの活動を評価され、ウズベキスタン大統領ミルジエヨフよる友好賞を受賞した。

 2024年2月に自身初となる日本での展示会「ウズベキスタンの刺繍と作家展」を開催。直前に物販が禁止になり、逆境に立たされるも、多くの来場者に恵まれ、無事に成功を収める。この際の物販サポートは、当店が行わせていただき、今も関係を続けさせている。

 同氏は、ウズベキスタンが独立して間もない1992年から自身の出身地である農村地域”ショーフィルコーン”地区で刺繍事業を開始。ソ連崩壊により失業した農村女性たちに働く環境を与えてきた。彼女の行いに触発され、同地区では多くの女性たちが自ら事業を立ち上げるにいたり、ショーフィルコーン地区は一大刺繍製作地となった。

 近年は多くの刺繍家が経済的理由で作品の質を犠牲にせざるを得ないなか、同氏は30年以上、「美術品」と評されるに値する作品づくりにこだわり、製作活動をつづけている。

経歴

1953年 ウズベキスタン共和国ブハラ州ショーフィルコーン地区で生まれる
1990年 ニザーミータシケント国立教育大学卒
1992年 外国人観光客に向けたビジネスを開始
1997年 ウズベキスタン工芸家協会会員(〜現在まで)
2002年 全国商工業展示会「タシャッブス 2002年」最優秀女性事業家賞 受賞
2003年 全国商工業展示会「タシャッブス 2003年」最優秀工芸家賞 受賞
2009年 「シルクとスパイス国際伝統フェスティバル」最優秀刺繍家 受賞
2010年 ロシア芸術・工芸展「ラディヤ」参加
2011年 ロシア・モスクワ第7回国際展示フェア「黄金の手工芸」展 参加
2011年 ロシア民族職人・芸術家「火の鳥」展 参加
2013年 ロシア「東洋方式」国際展示会 参加
2016年 タジキスタン国際刺繍家フェスティバル「ディヨル・ホスン」参加
2020年 ウズベキスタン共和国「友好」賞 受賞

現在   主に海外の顧客を中心に事業を展開、高い評価を受ける

 

同氏の素晴らしい刺繍布(スザニ)の数々