story
ウズベキスタンの美しい陶磁器
幾千という時の流れのなか、⽂化の均衡点として栄えてきた中央アジア。
⻄と東が交わるシルクロード沿いの国ウズベキスタンでは、中国の陶磁器とペルシアの顔料が出逢い、⾊鮮やかで美しい陶器が数多く⽣まれました。
太陽や植物を描いたギジュドゥバン。
緻密な幾何学模様が美しいホレズム。
鮮やかなブルーが魅惑的なリシタン。
時代が移り変わった現代でも、技巧を凝らした陶器がウズベキスタン各地で作られています。
リシタンが誇る名匠、アリシェル・ナジロフ氏
そして、ウズベキスタンで最も著名な陶⼯職⼈の⼀⼈が、リシタンで⼯房を営 むアリシェル・ナジロフ⽒。
若かりし頃に⽇本で九谷絵付けを学び、その製陶 技術は他の職⼈と⼀線を画します。
ソ連時代に失われた伝統技術を現代に蘇らせ、世界三⼤美術館の⼀つ「エルミタージュ美術館」に作品を寄贈した実績も。
アリシェル⼯房の陶器には、リシタン周辺で採れる粘⼟や草⽊など、伝統的な天然原料を使⽤。
鮮やかなコバルトブルーと深いジャスパーグリーンのコントラストは、アリシェル⼯房でしか出せない⾊合いとして世界中に愛好家を持ちます。
アリシェル工房でつくられた作品
モダン・スタイルのリシタン陶器
また現在、ウズベキスタン国内で流通する陶器の約90%がリシタン市内にある ⼯房で⽣産されています。
リシタンらしいブルーの陶器はもちろん、お⼟産やギフト⽤に作られたカラフルな陶器も豊富。
⼩花柄が華やかなケーキ⽫、真っ⾚なザクロ模様が⽬を惹くシチュー⽫、繊細な絵付けのタイルなど、趣向を凝らした作品が⽇々作られています。
ポップな花柄が楽しいケーキ皿
モスクの欠片のようなリシタンタイル
富と繁栄の象徴とされるザクロ模様のシチュー皿
リシタンで芽吹く日本のこころ
陶器の町として有名なリシタンは、実は⽇本とのゆかりが深い⼟地。
1999 年に無償の⽇本語学校「Noriko 学級」が故・⼤崎⽒によって設⽴されると、町のあちらこちらから元気な⽇本語が聞こえるようになりました。
残念ながら設⽴者である⼤崎⽒は2005 年にこの世を去りましたが、Noriko 学級は今⽇もガニシェル・ナジロフ学校⻑の元、リシタンの⼦ども達に別け隔てなく⾨⼾を開いています。
※Noriko学級については、こちらをご参照ください。
Noriko学級で日本語を学ぶリシタンの子どもたち
リシタンの伝統と子どもたちの未来を守る
そしてNoriko学級は今、リシタンの⼦ども達が陶芸を学べる場としても姿を変えました。
陶器の町として有名なリシタンですが、他に⽬⽴った産業はなく、若者の働き⼝が極めて少ない⼟地柄。特に家庭環境に恵まれない⼦ども達は、⾃⼒で貧困から抜け出すことが難しい状況です。
そこでkinuyaはNoriko学級の学校長 ガニシェル・ナジロフ氏と協力し、建物の⼀部を陶芸教室として改装。町の陶⼯職⼈を講 師として招き、リシタン陶器の次世代の担い⼿を育成することにしました。
今⽇もNoriko学級では、リシタンの⼦ども達が将来のための知識や技術を精⼀ 杯学んでいます。
Noriko学級の陶芸教室でつくられたタイル